食欲の秋!旬の食材を食べよう
こんにちは。アルカ管理栄養士のIです。
夏が過ぎ、肌寒い季節になってきましたね。
みなさんはおいしい秋の食材を知っていますか。今回は厳しい夏の暑さを乗り越えて育った旬の食材を紹介していきたいと思います。
1. 「食欲の秋」とは
秋は様々な食材が旬を迎える季節です。
おいしい旬の食材が多く収穫されることから「収穫の秋」「実りの秋」とも呼ばれています。
では、なぜ「食欲の秋」と呼ばれるのでしょうか。
それは、夏の暑さで落ちた食欲が、涼しくなった秋に本来の食欲を取り戻したり、気温が下がることで体温を維持するためのエネルギーが必要となり、食欲が湧いてくるといわれています。
また、秋になると日照時間が短くなり、セロトニンという神経伝達物質の分泌量が減少します。
セロトニンの分泌が減ると食欲が増えることで「食欲の秋」といわれているのではないかとされています。
2.旬の食材
さつまいも
エネルギー源となるでんぷんなどの糖質が主成分で、ビタミンCやカリウム、食物繊維を豊富に含んでいます。
さつまいものビタミンCは加熱しても壊れにくく、焼きいもにしても80%ほど残ります。
切ったときに出てくる白い液はヤラピンという樹脂の一種で腸の働きを活発にし、便をやわらかくする働きがあるため、便秘解消に役立ちます。
また、さつまいもに含まれるアミラーゼはでんぷんを分解して甘味度を高めるため、低温でじっくり加熱すると甘みが増します。
《おいしく食べるための保存方法》
ダンボールに入れて、少量ならキッチンペーパーに包んで冷暗所で保存します。
温度が低すぎると低温障害を起こすので、冷蔵庫には入れないようにしてください。
きのこ類
食物繊維やビタミンB群を多く含んでおり、ビタミンB群は三大栄養素の代謝を助ける働きをするため、体や神経の働きを正常に保ち、疲労回復に役立ちます。
また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも多く含んでおり、骨粗鬆症の予防にもつながります。
しいたけには、しいたけ特有の成分であるエリタデニンが豊富に含まれており、コレステロール値の上昇を抑える働きがあるため、動脈硬化や高血圧予防に効果的です。
また、日光に当てるとビタミンDに変化するエルゴステロールという成分を多く含むため、使う前に天日干しするのがおすすめです。
しめじやまいたけ、松茸などに含まれるβ―グルカンは免疫力を高める効果があり、風邪予防やがん予防につながります。
《おいしく食べるための保存方法》
きのこ類は洗うと風味が落ちるので、できるだけ汚れやほこりは湿らせたキッチンペーパーなどでふき取りましょう。
生しいたけは鮮度が落ちるスピードが速いので、使わない分は軸を取って冷凍保存しましょう。冷凍により香気成分が増えるため、より旨味が増します。
しめじやエリンギはぬれると傷みやすいので、袋やパックに入ったものはそのまま冷蔵庫で保存してください。
さんま
旬のさんまには脂質やビタミンが多く含まれており、特に脂質であるEPAやDHAは動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞、高血圧、冷え性、眼精疲労、ストレスなどの予防に有効です。
鉄やビタミンB₁₂、葉酸もたっぷり含まれているため、貧血予防にも役立ちます。
さらにビタミンB群も多く含まれており、疲労回復、肥満防止などに効果大です。
また、たんぱく質も良質でたっぷりと含まれています。
《おいしく食べるための保存方法》
一尾で購入された場合は、内臓から傷みやすいため、わたを出して流水できれいに洗います。わたがあった部分は塩水で洗います。
キッチンペーパーで水気をふき取り、ラップでぴっちり包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫で保存します。
切り身魚は、トレーから出し、軽く塩を振ります。キッチンペーパーに包み、ラップに包んでポリ袋に入れて冷蔵します。どちらも2~3日ほどもちます。
みそやしょうゆ、酢、かすなどに漬け込むと1週間ほどもちます。
さらにもたせたい場合は冷凍がおすすめです。
くり
糖質と食物繊維を多く含み、ビタミン類もバランスよく含んでいます。
くりのビタミンCはでんぷん質に包まれているため、加熱しても損失しにくいという特徴があります。
そのほか、たんぱく質や脂質も多く、ビタミンB₁・B₆・C、カリウムなどの栄養素も充実しています。
また、くりには胃腸の働きを活発にし、内臓機能の強化したり、血行を良くする作用があるため、疲労回復や食欲不振、冷え性に良いとされています。
さらに、渋皮に含まれているタンニンには強い抗酸化作用があるため、老化防止やがんの予防にも効果的です。
《おいしく食べるための保存方法》
水分を含ませたおがくずに入れて冷蔵庫で保管すると数か月は鮮度を保ちます。
おがくずがない場合に長期保存するときは、ゆでて冷凍します。
梨
梨に含まれているポリフェノールは強力な抗酸化作用をもつため活性酸素を抑制してくれます。
また、殺菌作用もあるためがん予防も期待できます。
梨に含まれるサポニンはせきやのどの炎症をしずめ、アスパラギン酸には疲労回復効果があります。
さわやかな甘味には、脂質の酸化やでんぷんの老化を防ぐソルビトールという成分が含まれ、腸内環境を整え、便秘解消に有効です。
梨のシャリシャリとした食感を生み出している石細胞も便秘改善が期待できます。
《おいしく食べるための保存方法》
梨は常温で保存し、食べる1日前~数時間前に冷蔵庫に入れて冷やします。
また、乾燥を防ぐためにキッチンペーパーなどで包むようにしたほうが日持ちします。
3. 効果アップの食べ合わせ
栄養素は互いに助け合い、補い合ってその作用を強化するものが多いです。
先ほど紹介した食材をもとに、より効率的に栄養価を高められる食べ物の組み合わせを紹介していきます。
さつまいも×りんご
さつまいものビタミンCには抗酸化作用、りんごのカリウムには血圧を下げる作用があるため、動脈硬化予防が期待されます。
きのこ×小魚、チーズ
きのこにはカルシウムの吸収を助けるビタミンDが含まれているので、カルシウムを多く含む食材と合わせると吸収率がアップし、骨粗鬆症の予防にも繋がります。
さんま×すだち、大根おろし
さんまに多く含まれるビタミンB群とすだちに含まれるクエン酸を一緒に摂ると疲労回復や風邪の予防効果がアップします。
また、大根おろしは魚を焼いたときにできる焦げ部分に含まれる発がん性物質を取り除く効果があるため、塩焼きにする場合はどちらも一緒に食べると効果的です。
くり×イカ、タコ
くりに含まれるビタミンB₁とイカやタコに含まれるタウリンを一緒に摂ることで疲労回復効果か期待できます。
梨×れんこん
二日酔いには梨とれんこんのミックスジュースかおすすめです。
れんこんには利尿作用、解毒作用、胃壁を保護する働きがあり、梨の利尿作用とともに二日酔いに効果があります。
4. まとめ
今回は「食欲の秋」をテーマに、旬の食材や食べ合わせを紹介させていただきました。
秋に旬を迎える食材は美味しく、さらに栄養価も抜群なので、ぜひ様々な食材を楽しんでいただけたらと思います。
ここでしっかりと体力をつけて、これからやってくる寒い冬を乗り越えましょう。
参考文献:「食べ物栄養百科」阿部芳子 主婦の友社
「色の野菜の栄養事典」吉田企世子 ㈱エクスナレッジ
「新・野菜の便利帳健康編」名取貴光 高橋書店