栄養士が伝授!免疫力を高める食事
こんにちは。アルカ栄養士のYです。
聞き馴染みのある「免疫力」という言葉。
最近では免疫力を高める○○と謳った機能性表示食品も増え、「免疫力」という言葉を耳にする機会も多くなったのではないでしょうか。また新型コロナウイルスの流行により「免疫力」の重要性が改めて注目されています。
今回は体調を崩しやすいこの時期におすすめしたい、「免疫力」を高める方法についてお伝えしていきます。
1. 免疫力とは
免疫とは外部から侵入してくるウイルスや菌といった異物から体を守る機能のことです。
皮膚や、鼻やのどの粘膜から分泌される粘液は、外敵が体内に入り込まないようにする物理的バリアであり、このバリアをすり抜けた病原体が体内に入り込んでしまったときに活躍するのが免疫細胞です。
口から入ってくる食べ物も体にとっては異物であり、ウイルスや菌を含んでいることもあります。そのような病原体を血液中に取り込んでしまわないように、腸には全身の約7割の免疫細胞が存在しています。
つまり、腸内環境を整えることは免疫力アップにつながるのです。
2. 腸内環境を整えよう
では腸内環境を整えるにはどうすればよいのでしょうか。
腸内には100兆個、2000種類を超える細菌が存在します。
健康な腸内では、体に良い「善玉菌」と悪影響を及ぼす「悪玉菌」、そしてどちらでもない「日和見菌」が2:1:7の割合で存在しています。
悪玉菌の数が増え、腸内環境のバランスが崩れると、おなかに不調が現れたり、免疫機能の低下を引き起こしたりしてしまいます。
腸内環境を整えるには、善玉菌を増やす必要があります。
善玉菌を増やす方法として、善玉菌を直接摂取する方法と善玉菌のエサとなるものを摂取して善玉菌を元気にして増やす方法があります。
善玉菌が含まれる食べ物
発酵食品:味噌、納豆、キムチ、チーズ、ヨーグルトなど
善玉菌の数を増やす助けになる食べ物
食物繊維を含む食材:きのこ類、海藻類、イモ類、切り干し大根、オクラなど
オリゴ糖を含む食材:キャベツ、玉ねぎ、ごぼう、ニンニク、豆乳、牛乳など
これらの食品を積極的に摂取し、腸内環境を整えましょう。
食品によって含まれる菌の種類が違うため、できるだけ様々な食品を食べて腸内細菌に多様性を持たせることが大切です。
3. 自律神経を整えよう
自律神経には交感神経と副交感神経があります。
交感神経は昼間や活動中に働く神経で、いわばアクセルのような役割を担っています。
一方、副交感神経は、睡眠中や食事中に働く神経で、ブレーキのような役割を担っています。この2つの神経が交互に働きバランスをとっています。
しかしこのバランスが過度なストレスや、不規則な生活によって崩れてしまうと、交感神経と副交感神経の切り替えがうまく行われず、自律神経が乱れてしまいます。自律神経の乱れは免疫機能にも影響を及ぼします。
ここからは自律神経を整える方法について詳しく見ていきましょう。
①よく噛んで食べる
消化管は副交感神経の支配下にある最大の臓器なので、食べ物を摂取して消化管を動かすと副交感神経を活性化することができます。できるだけよく噛んでゆっくり食べることがポイントです。
②1日3食食べる
朝食を抜いたり、食事の時間がバラバラになったりするなどの不規則な食生活を続けてしまうと体内時計が狂ってしまいます。体内時計が狂うと、自律神経も乱れ、免疫機能も下がってしまうため、1日3食決まった時間に食べることをおすすめします。
③セロトニンを増やす
体には様々なホルモンがありますが、セロトニンの働きは特に重要です。
セロトニンは緊張を和らげ、精神を安定させるための神経伝達物質であり、ストレスホルモンに働きかけ、交感神経と副交感神経のバランスを調整します。
また、睡眠ホルモンのメラトニンはセロトニンを原料に合成されます。メラトニンは質の良い睡眠へ導き成長ホルモンの分泌を促します。つまり、メラトニンの分泌を促すことは免疫機能がしっかり働く体をつくることに繋がるのです。そのためにもセロトニンを増やすことが重要になってきます。
セロトニンを生成するためには原料であるトリプトファンが必要ですが、トリプトファンは体内でつくることができません。
主に大豆製品や肉、魚などのたんぱく質、牛乳やチーズ、バナナに豊富に含まれているため、食事でとり入れるようにしましょう。
④体を温める食品を摂取
神経が乱れてしまうと体温が下がりやすくなります。低体温は免疫力が落ちる原因になります。ショウガやニンニク、味噌汁やスープなど体をあたためる食品を積極的にとり入れ、腸から体を温めましょう。
4. まとめ
ここまで免疫力を高める方法についてお伝えしてきましたが、栄養をバランスよく摂ること以外にも、睡眠、適度な運動も重要です。
日々の積み重ねが大切なので、今日お伝えしたポイントを是非毎日意識して過ごしてみて下さいね。健康な体で残りの冬を乗り越えましょう!
参考文献
新しい免疫力の教科書 根来秀行「朝日新聞出版」
免疫を高める食事 野口勇人「三和書籍」
腸のトリセツ 江田証「Gakken」