いいことアルカも食と健康

2018年4月 1日

野菜からの恩恵を受け取ろう! 

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先日私は淡路島へ行ってきた友人から「新たまねぎ」のお土産をいただきました。瑞々しくて甘くて、新たまねぎのおいしさにとっても感動しました。辛味が少ないので食べやすく、生でもシャキシャキとした食感を堪能しながらたくさん食べられますよね。

そこで今回は野菜の美味しさだけでなく、管理栄養士として、野菜などの植物が持つ健康パワーに着目をして皆さんにお伝えしたいと思います。

楽しく過ごしていても、自分でも気づかないうちに疲れやストレスは溜まっていくもの。頑張りすぎて体調を崩してしまってはもったいないですよね。野菜でパワーをたっぷりチャージして、疲れを吹っ飛ばしましょう。

1. フィトケミカルってなに・・?

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ビタミンやミネラルなどの栄養素とは別に、野菜などの植物にはさらなる健康パワーが秘められています。そのパワーの秘密が「フィトケミカル」です。ギリシャ語の「植物」を意味するフイトと、ケミカル「化学物質」で「植物性化学物質」のことをいいます。植物が外敵や紫外線などから身を守るために作り出した天然の機能性成分で、植物の色素や香り苦み成分などがそれにあたります。フィトケミカルには免疫調整など、健康に役立つ様々な効果が認められています。なかでも特筆すべきは体内に発生する活性酸素を強力に打ち消してくれる「抗酸化力」です。

2. 活性酸素はなぜ体に悪い?

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フィトケミカルが活性酸素を打ち消す力があるといいましたが、活性酸素はなぜ体に悪いのでしょうか?たとえば、自動車はガソリンを燃やしながら走行して排気ガスを排出します。人間も同じようにエネルギー代謝を繰り返しながら生きていますが、そのとき体内には活性酸素が発生します。他にもストレスや紫外線、喫煙、過度な飲酒、食品添加物や大気汚染、激しい運動など私たちの生活を取り巻くものが原因で発生するといわれています。活性酸素は体内の細菌やウイルスを退治して、血管を拡張させるなど良い働きもしますが、過剰に増えすぎれば強い毒性を持つようにもなります。いわば、排気ガスみたいなものです。

しかも、車であれば自動的に排気ガスを車外に排出することができますが私たち人間の体はそうはいきません。そのまま体内に活性酸素が溜まってしまえば、遺伝子を傷つけてがんの引き金になるだけでなく細胞のダメージや免疫力の低下、血管・血液へのダメージなど、さまざまな悪影響を招くことになってしまいます。

3.活性酸素をフィトケミカルの力でやっつけよう!

体内にある抗酸化ビタミンフィトケミカルには活性酸素を無毒化する効果があります。最も強い活性酸素は、カロテノイド類のフィトケミカルであるα・βカロテン(α・βカロテンは抗酸化ビタミンでもあります。)やポリフェノール類のフィトケミカルによって無毒化されます。紫外線で発生し、シミシワなどの肌老化を引き起こす活性酸素には一般的にビタミンCが有効とされていますが、実際にはこの活性酸素にはビタミンCはほとんど効かないと言われています。しかし、この活性酸素に対して高い抗酸化力を発揮する成分がカロテノイド類のフィトケミカルです!もし紫外線を浴びた時に体内に十分なカロテノイドがあれば、発生した活性酸素を即座に撃退し、お肌を守ってくれます。

4.おすすめアンチエイジング!フィトケミカル6選

①リコピン(カロテノイド類):トマト・スイカ・ピンクグレープフルーツなど

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カロテノイド類のリコピンです。抗酸化力が非常に強い赤色の色素です。リコピンは脂溶性のため、油を使った調理で体内の吸収率が上がります。パスタなど油を使った料理に相性が良い食材としてトマトが挙げられますが、単位量あたりではミニトマトの方がリコピン含有量が多くおすすめです。リコピンといえばトマトのイメージが強いですが、スイカやピンクグレープフルーツといった果物にも多く含まれています。

②α・βカロテン(カロテノイド類):にんじん・かぼちゃなど

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続いてカロテノイド類のα・βカロテンです。どちらも体内でビタミンAに変わるプロビタミンAです。目や皮膚、粘膜の健康を守るほか、免疫力アップの効果もあります。α・βカロテンはにんじんやかぼちゃに多く含まれています。

③ケルセチン(フラボノイド系):玉ねぎ・ブロッコリー・りんごなど

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続いてフラボノイド系のケルセチンです。ケルセチンは血液の流れを改善したり、血管を保護する作用や血中脂質の減少効果があると言われています。ケルセチンは冒頭に登場した玉ねぎに特に多く含まれていて、ほかにブロッコリー、りんごにも含まれています。

④アリシン(硫黄化合物):にんにく・ニラ・玉ねぎなどのユリ科の植物

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続いて硫黄化合物のアリシンです。疲労回復効果のあるアリシンは、疲労を取り除くビタミンB1と結合することで「アリチアミン」となります。これは有名な栄養ドリンクの由来となった成分です。基本的にはアリチアミンもビタミンB1も同じ働きですが、ビタミンB1の場合、水溶性のため調理損失が大きい上、肝臓に貯蓄できる量も少なめ。一方、アリチアミンは脂溶性のため調理損失も少なく、また体内の血液のなかで貯蓄できるという特徴があり、エネルギー代謝促進効果を維持することができます。アリシンを含む食材を調理する場合は、ビタミンB1の宝庫である豚肉などと一緒に摂ることがおすすめです。アリシンはそのほか、殺菌効果・血行を促進する作用があります。また、にんにくやニラ、玉ねぎなどのユリ科の植物に多く含まれていて、特有のにおいのもとになる成分でもあります。にんにくを食べたあとのにおいが気になる方も多いと思いますが、アリシンはタンパク質と結びつきやすく、食べる前に牛乳や豆乳を飲むとタンパク質がアリシンを包み込んでくれるので、嫌なにおいに変化することを抑えてくれますよ。

⑤アントシアニン(ポリフェノール類):ブルーベリー・ぶどうの皮・茄子

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続いてポリフェノール類のアントシアニンです。よくCMなどで耳にする成分だと思いますが、活性酸素を除去する働き以外にも目の疲れや視力低下を防ぐなど、目の健康を維持する働きをします。ブルーベリーや黒豆、ぶどうの皮、茄子などに含まれる紫色の色素です。

⑥カテキン(ポリフェノール類):緑茶・ウーロン茶・紅茶

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最後にポリフェノール類のカテキンです。カテキンは殺菌作用があり、細菌から身を守る働きをします。お茶でうがいをしたことがある人も多いのではないでしょうか?また、最近は血中脂質の減少効果にも注目が集まっています。カテキンが最も多く含まれているのが緑茶です。緑茶の中でも煎茶に最も多く含まれています。茶葉に含まれるカテキンは発酵によって減少するので、発酵しない緑茶に多く含まれています。半発酵のウーロン茶、発酵茶である紅茶の順にカテキンの含有量は少なくなります。

5.まとめ

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フィトケミカルのアンチエイジングに効くポイントは、まずは活性酸素の発生や働きを阻害してくれること。その働き以外にも、先ほどご紹介したような多様な健康効果が認められています。今まで、「野菜を食べましょう」と皆さんは頻繁に耳にされてきたと思います。野菜は食物繊維やビタミン・ミネラル以外にもこのような多様な効果を持つフィトケミカルも含まれています。人は植物を食べることではじめて恩恵を受けることができるので、今後はフィトケミカルにも着目して野菜を積極的に食べることも大切なことだと思います。野菜の栄養をはじめ、お食事に関する疑問・お悩みがあれば、お気軽に近くのアルカ調剤薬局の栄養士へお尋ねくださいませ。お待ちしております。

今回の担当は 管理栄養士 西田でした。

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