いいことアルカも食と健康

2018年7月 1日

夏が来た!知っておきたいアイスのヒミツ

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1. アイスクリームの起源

8月になり毎日暑い日が続いています。そんな暑い日に食べたいデザートといえばアイスクリーム!様々な種類が発売されており、買う時にどれにしようか迷うほど。今では馴染みのあるアイスクリームですがいつ頃から食べられていたのかをご存知ですか?それは、紀元前のギリシャ・ローマ時代までさかのぼります。氷雪に蜜や果汁をかけて食べていたものが始まりです。このような氷菓はインドやアラブでも作られ、そこからヨーロッパにも広まっていきました。17世紀末にはパリで現在のアイスクリームのようなホイップクリームを凍結させたものが誕生しました。一方、日本では4世紀後半に今でいう冷蔵庫の役割をする「氷室」が作られ、冬の間に集めた氷を貯蔵し夏にその氷を食べていたことが始まりといわれています。平安時代には氷菓(削り氷)が枕草子や源氏物語に書かれており、1860年アメリカ使節団がワシントンに訪れた際にはアイスクリームを食したことが記録されています。その後、高級なデザートとして広まっていたアイスクリームも大正時代になると工場で生産されるようになり多くの人々が食べる定番のデザートになりました。家庭用冷蔵庫が普及し始めた昭和30年代では、現在でも販売されているカップアイスやコーンアイスも登場しました。

(参考 一般社団法人 日本乳業協会HPより)

ちなみに、日本アイスクリーム協会は、日差しに初夏の気配を感じ始める5月9日を「アイスクリームの日」としています!

2. アイスクリームの種類

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アイスクリームを買う時、成分規格を見てみると「アイスクリーム」「アイスミルク」「ラクトアイス」「氷菓」のいずれかが表記されていると思います。これは食品衛生法にもとづく「乳及び乳製品の成分規格に関する省令(乳等省令)」と「食品、添加物等の規格基準」の2つの法律によって規格が定められているからです。「アイスクリーム」「アイスミルク」「ラクトアイス」の3つはアイスクリーム類で、乳等省令によって「乳又はこれらを原料として製造した食品を加工し、又は主要原料としたものを凍結させたものであって、乳固形分3.0%以上を含むもの(発酵乳を除く)をいう」と定義されています。

アイスクリーム類の成分規格

種類別 乳固成分 うち乳脂肪分 大腸菌群 細菌数
アイスクリーム 15.0%以上 8.0%以上 陰性

1gあたり100.000以下

アイスミルク 10.0%以上 3.0%以上 陰性 1gあたり50.000以下
ラクトアイス 3.0%以上 陰性 1gあたり50.000以下
氷菓(食品、添加物の規格基準)
一般食品 氷菓 上記以外 陰性 1ml当たり10.000以下
(参考 乳等省令、食品、添加物等の規格基準)

※発酵乳又は乳酸菌飲料を原料として使用したものにあっては、乳酸菌又は酵母以外の細菌数をいう

【アイスクリーム】
乳固形分と乳脂肪分が最も多く、ミルクの風味も最も感じられ栄養的にも優れています。

【アイスミルク】
乳固形分と乳脂肪分はアイスクリームに比べ少ないですが、牛乳と同じくらいの乳成分を含んでいます。植物性脂肪が使われていることもあります。

【ラクトアイス】
乳固形分はさらに少なく、植物性脂肪が使われていることもあります。

【氷菓】
乳固形分はほとんどなく、果汁などを凍らせたアイスキャンディーやかき氷があります。

このように種類によって味の濃厚さや栄養面も違ってきます。少し贅沢をしたい気分の時は、アイスクリームと表記されているものを選んでみてください。

3.アイスクリームとソフトクリームの違い

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アイスクリームとソフトクリームの違いは製品温度です。ソフトクリームの方が食べている間に溶けやすいと思った方もいるのではないでしょうか。実際アイスクリームは販売時、-18℃で保管されているのに対しソフトクリームは-5~-7℃と少し高めの温度になっています。そのためソフトクリームは氷結晶が小さく少ないので、口あたりがなめらかで出来立てのフレッシュ感が味わえます。もう1つおいしいソフトクリームに欠かせないのがオーバーランです。ソフトクリームはフリーザーの中で攪拌されながら冷却され空気を含むことにより、適度な冷たさを持ち口あたりが良くなります。この空気の混入度合いを示すものをオーバーランといいます。オーバーランが低すぎると、組織が粗く硬くなるので、風味がくどく口どけの悪いソフトクリームになってしまいます。逆にオーバーランが高すぎると気泡が大きくなるので、風味が弱く、冷たさも少なくなってしまいます。

4.アイスクリームには賞味期限がない?

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実はアイスクリームには賞味期限の省略が認められています。乳等省令に「アイスクリーム類にあっては期限及びその保存方法を省略することができる」と記載されており、公正競争規約にも期限表示の規定はありません。その理由としてアイスクリームは通常-18℃以下で保存されているので保存中の変化はわずかであり、人の健康を損なうような危害の発生は考えられないこと、さらに原料の品質基準が乳等省令により厳しく規定されているので、長期間品質が劣化しないので賞味期限の省略が認められているのです。ただし開封後時間が経ったものや一度溶けて再凍結したものは風味が落ちてしまいます。最後までおいしくアイスクリームを食べるために冷凍庫の温度は-18℃以下に保ち、開封後はなるべく早く食べましょう。もし一度に食べきれない場合は、表面を平らにして空気に触れないようにラップをして保存しましょう。

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アイスクリームをたくさん食べると、糖分の取りすぎや体を冷やす基になります。1日の菓子類、嗜好品の目安は約200kcalです。1日の摂取カロリーにも気を付けながら、この夏はお気に入りのアイスクリームを見つけて暑い夏を乗り切りましょう!

今回の担当は 管理栄養士 前田でした。

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