貧血を予防しよう!
12月に入り、寒い日が続いていますね。1年の締めくくりということで忙しくされている方も多いのではないでしょうか。疲れやすい、立ちくらみ、イライラするなどの症状はありませんか?実はこの症状の原因は貧血かもしれません。成人女性の約半数が貧血予備軍という調査結果もあるので女性は特に注意が必要です。今回は貧血と食事の関係についてお話したいと思います。
1. 貧血とは
貧血とは、血液中のヘモグロビンというたんぱく質の濃度が低下した状態をいいます。ヘモグロビンは赤血球の中に含まれ、肺から取り込んだ酸素と結合して全身に運搬しています。このヘモグロビンが減少することで、酸素を十分に供給できなくなります。その結果、初期症状として、疲労感、倦怠感、息切れなどが現れます。さらに、進行すると頭痛、めまいなどの症状が出てきます。しかし、自覚症状がなく、気が付いていない人も多いようです。
2. 貧血の種類
貧血は原因によってさまざまな種類に分けられます。その中で、全体の約70%を占めるのが鉄欠乏性貧血です。
鉄欠乏性貧血は
・ダイエットや食生活の乱れにより鉄が不足する
・妊娠・授乳期や思春期の鉄需要の増加
・月経過多、消化管出血などによる鉄損失
・胃切除に伴う吸収障害
などの原因が考えられます。
他には、骨髄の働きの低下によって起こる再生不良性貧血、ビタミンB12・葉酸の不足が原因の巨赤芽球性貧血、マラソンなどのスポーツによる外的要因により赤血球の膜が壊れてヘモグロビンが流出する溶血性貧血などがあります。
3. 食事のポイント
ここでは、食事とのかかわりが深い鉄欠乏性貧血の食事のポイントについてお話していきます。
①1日3食バランスの取れた食事
まず基本となるのが、3食規則正しい食事をすることです。欠食などで食事量が減ると、貧血予防に必要な栄養素の摂取量も減り、貧血につながってしまいます。偏食などをせず、さまざまな食品をバランスよく食べることも大切です。
②鉄を多く含む食品と鉄の吸収を高める食品
鉄はヘモグロビンを構成する重要な栄養素です。そのため食事から十分摂取する必要があります。しかし、日本人の食生活では不足しやすいので、意識して3食にしっかり取り入れることが大切です。鉄には、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があり、ヘム鉄は肉や魚に非ヘム鉄は大豆製品や野菜に多く含まれています。ヘム鉄に比べると、非ヘム鉄は体内での吸収率が低いです。しかし、動物性たんぱく質やビタミンCと一緒に摂取することで非ヘム鉄の吸収率を高めることが出来るので、組み合わせて摂取するようにしましょう。
逆に鉄の吸収を妨げるシュウ酸、フィチン酸、タンニンなどを含む食品との同時に取る際は注意が必要です。
◎鉄を多く含む食品(mg)(100gあたり)
鶏レバー |
9.0 |
しじみ |
8.3 |
アサリ |
3.8 |
納豆 |
3.3 |
小松菜 |
2.8 |
枝豆 |
2.7 |
牛もも肉赤身 |
2.7 |
かつお |
1.9 |
玄米 |
0.6 |
③赤血球の合成にかかわる栄養素
葉酸やビタミンB12、ビタミンB6などは赤血球の合成に欠かせない栄養素です。また、ヘモグロビンの合成を助ける銅や不足すると赤血球の膜が弱くなってしまう亜鉛などの栄養素もしっかり摂取する必要があります。
栄養素 |
多く含む食品 |
動物性たんぱく質 |
肉、魚、卵、乳製品 |
ビタミンC |
緑黄色野菜(ブロッコリー、ピーマン)、果物(いちご、キウイ) |
ビタミンB6 |
さつまいも、バナナ、にんにく、魚介類(まぐろ、かつお) |
ビタミンB12 |
青魚(さんま、いわし)、貝類(アサリ、しじみ)、レバー |
葉酸 |
緑黄色野菜(ブロッコリー、ピーマン)、果物(キウイ、マンゴー) |
銅 |
きな粉、糸引き納豆、ナッツ類、アボカド、レバー |
亜鉛 |
糸引き納豆、緑黄色野菜(ブロッコリー、ピーマン)、レバー |
4. まとめ
貧血は身近なことだとお分かりいただけましたか。生活習慣、食事を少しずつでも意識していきましょう。今回は管理栄養士のOが担当しました。
参考文献:かしこく摂って健康になる くらしに役立つ栄養素
監修:新出真理 出版:株式会社ナツメ社