冬至~寒い冬を乗り越えよう~
こんにちは。アルカ管理栄養士のHです。
今年もとうとう残りひと月となりました。これから寒さもより一層厳しくなりますが、風邪など引かぬよう体調を整えて新しい年を迎えたいですね。
今回は厳しい寒さとともにやってくる冬至についてお話したいと思います。
1. 冬至とは
今年2021年の冬至は、12月22日です。
冬至とは、季節の変化を24通りの指標で表した「二十四節気」のひとつであり、日の出から日の入りまでの時間が1年のなかで最も短い日のことです。すなわち、1年間で最も昼間が短く夜が長い日となります。
この日を境に太陽の力がどんどん増していくことから、「一陽来復」とされ、運気が上昇する日とされています。
2. 冬至のしきたり
冬至の日には、カボチャを食べたり、ゆず湯に入ったりする習慣があります。
冬至では、「ん」のつく食べ物は運気が上がり縁起が良いものとして食べられ、特にその中でも「ん」が2回つく食べ物はたくさんの運を呼び込めるとし、『冬至の七種』と呼ばれています。
【冬至の七種】
・饂飩 うんどん(うどん)
・寒天 かんてん
・金柑 きんかん
・銀杏 ぎんなん
・南瓜 なんきん(かぼちゃ)
・人参 にんじん
・蓮根 れんこん
冬至にこれらを食べることは、縁起のためだけではなく、身体のためでもあるとされています。冬至の七種を食べることによって、栄養を体に蓄え、活力をつけて寒い冬を乗り切ることができると言われています。
3. 冬至の食べ物:かぼちゃ
かぼちゃは冬至の食べ物としてご存じの方も多いのではないでしょうか。
冬は野菜の量や種類が少なくなるため、この時期に美味しくて栄養のあるかぼちゃを食べることで無病息災を願ったと考えられています。冬至の日にかぼちゃを食べると風邪を引かないという言い伝えはよく知られていますが、他にも風邪だけでなく、中風(脳卒中)予防のおまじないになることも昔から言い伝えられています。
そこで、かぼちゃの健康効果について触れたいと思います。
かぼちゃには、抗酸化力という細胞が衰えることを阻止する力の高いビタミンCやビタミンEの他、β-カロテン、α-カロテンといった栄養素が豊富に含まれており、大変栄養価の高い野菜です。
β-カロテンは体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAは皮膚や粘膜を正常に保つことで細菌やウイルスの侵入を防ぐはたらきがあり、風邪の予防に有効です。また、細胞の増殖や分化をサポートするはたらきがあります。その他にも、ビタミンAに変換されなかったβ-カロテンは、抗酸化作用があるため老化を防ぐことに繋がります。
β-カロテンは脂溶性のため、油と一緒に食べると体内に吸収されやすくなります。マヨネーズを使ったかぼちゃサラダなどで取り入れるのがおすすめです。
ビタミンEは、体内の脂質やたんぱく質、DNAなどの酸化を防ぐはたらきがあるため、動脈硬化予防や心臓病、認知症などの予防にも効果があると言われています。また、血流をよくして生殖系のホルモン分泌にも作用することから、不妊や流産防止効果なども期待されています。その他にも冷え性や肩こり、更年期障害などの不快症状の緩和にも効果があります。
さらに、かぼちゃの種子にもリノール酸やオレイン酸、ビタミンE、ビタミンB2などが含まれています。これらは、動脈硬化や高血圧の予防に効果が期待できるとされています。
ポリフェノールのリグナンという成分も含み、これが女性ホルモンの様な働きをするため、骨粗鬆症の予防効果もあるとされています。
4. 冬至の風習:ゆず湯
冬至を「湯治」とかけて、ゆず湯に入る風習があります。また、ゆず湯には「融通がききますように」という願いが込められています。
ゆずの皮には精油成分のリモネンやリナロールといった成分が含まれています。これらは、血行促進や消炎作用もあることから、入浴剤として使われることがあります。冬至の日にゆず湯に入ることで、年末の疲れを癒し、身体を芯から温めて風邪を予防します。また、荒れた肌を整えたり、神経症をやわらげたりするなど多くの効果があります。
5. まとめ
冬至が過ぎればだんだんと日が長くなっていきますが、寒さはまだまだ続きます。
古くから伝わってきた冬至の風習には、寒い冬を乗り切るための知恵が詰まっています。今一度、日本の行事を意識して、昔からのしきたりにならってみてはいかがでしょうか。ほくほくのかぼちゃを食事に取り入れ、ゆずの素敵な香りに包まれて、皆様風邪など引かれぬよう良い年をお迎えください。
参考文献:「おうちで楽しむ季節の行事と日本のしきたり」新谷尚紀 マイナビ
「子どもに伝える行事と行事食すとうあさえ」 メイト
「からだのための食材大全」池上文雄 他 NHK出版
「これは効く!食品力を120%活用する食べもの効果効能事典」阿部芳子 主婦の友社